ロスノフスキ家の娘

 六歳の少女は思慮深くうなずいてから質問した。「ポーランド人でもアメリカ合衆国の大統領になれると思う?」
「なれますとも、アメリカ人が自分たちの偏見を克服できればね」
「じゃ、カトリック教徒はどう?」
「それはわたしが生きているあいだにさえ問題にならなくなるわ」
「それじゃ女性は?」
「それにはもう少し時間がかかるかもしれないわね」

 ロスノフスキ家の娘(上) p.57 より。民主党予備選挙のニュースを聞くたび、この本のことを思い出します。
 特に下巻の、上院選の戦い、そして因縁の相手との大統領予備選挙への流れは、手に汗握ること間違いなし。今なら、上巻は勢いに乗って読み進み、下巻をメインで楽しむというのがタイムリーでしょうねー。私は上巻も好きですけど(ミス・トレッドゴールドがいるから)。
 議員間の人間模様や、電話や戸別訪問といった泥臭い選挙活動などの描写も、面白さをぴりっと引き立てます。イギリスで議員経験のある、アーチャー氏ならではですね。


http://www.nikkeibp.co.jp/feature/080311_election02/index.html

徹底した電話勧誘や戸別訪問は、表舞台に出てこないが、21世紀になったいまでも選挙戦の真骨頂といえるものだ。劣勢と伝えられたニューハンプシャー州カリフォルニア州クリントン候補が勝ったのも、各州で数千人規模のボランティアを投入した地道な努力が実を結んだ結果である。

 今も昔も、選挙の王道は地道な活動であるようです。

フロレンティナとヒラリー

 主人公のフロレンティナと、現実のヒラリーさんを重ね合わせたり、ずらしたりしてみるのも面白いかも。

  • ともに女性大統領を目指す、エネルギッシュな女性。
  • 予備選中に、対立候補への副大統領打診。ヒラリーは提案する側、フロレンティナはされる側。
  • フロレンティナは若い頃からファッション業界に身を置き、ヒラリーは若い頃はファッションに無頓着。(と、『ヒラリーとライス』*1で読みました)
  • etc...

残念ながら…

 本書はすでに絶版のようですが、アーチャー本は、どの古本屋にいっても高確率で置いてあるのがいいところです?。

ロスノフスキ家の娘 (上) (新潮文庫)

ロスノフスキ家の娘 (上) (新潮文庫)

ロスノフスキ家の娘 (下) (新潮文庫)

ロスノフスキ家の娘 (下) (新潮文庫)

*1:ヒラリーとライス アメリカを動かす女たちの素顔 (PHP新書)